基本検査 basic inspection

基本検査について

主な基本検査には以下のものがあります。

1. 基礎体温測定

妊娠を考え始めたら、まず基礎体温の記録を始めましょう。
すぐに病院の受診をお考えでない方もつけておいて損はありません。数周期分の基礎体温は初診のときに必ず役に立ちます。
では、基礎体温からどのようなことがわかるのでしょう?

基礎体温を記録することにより、以下の4点を推測することができます。

  1. 排卵がありそうか否か
  2. 排卵日はいつ頃か
  3. 黄体機能に問題はないか
  4. 出血や腹痛その他月経周期に関係するさまざまな症状の原因は何か

排卵がありそうか否か、排卵日はいつ頃か

排卵のある月経周期は低温相および高温相の2相からなり、低温相の部分を卵胞期(または子宮内膜増殖期)、高温相の部分を黄体期(または子宮内膜分泌期)と呼びます。
高温相が始まる前の体温が一番低い日が排卵日である可能性が最も高い(約60%)とされていますが、高温相初日が排卵日であることもあり(約25%)基礎体温のみから正確な排卵日を知るのは困難です。
ただしプラスマイナス2日位の精度で排卵日を推測するのは十分可能であり、妊娠可能な期間が1周期に3~4日あることを考えると基礎体温の記録は十分に役に立つと言えます。

黄体機能に問題はないか

排卵のあと卵胞(卵子が入っている袋)は黄体にかわり、ここから黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が始まります。黄体ホルモンには体温上昇作用があるため、排卵がありまた黄体の働きが正常であれば基礎体温は高温相となります。
一般に低温相と高温相の体温差が0.3℃未満の場合、また高温相の持続期間が10日間以内の場合、黄体機能に問題がある可能性が高いとされます。黄体機能不全は着床障害や妊娠初期の流産の原因になると言われています。

出血や腹痛その他月経周期に関係するさまざまな症状の原因は何か

月経周期の決まった時期におこる不快な症状にお悩みではありませんか?たとえば、性器出血、腹痛、頭痛、いらいら、不眠…などなど。基礎体温を記録することによりこれら不快な症状の原因を推測し適切な治療を行うことができます。

以上が基礎体温から得られる情報の概要です。
ご理解いただけたとおり、妊娠に関すること以外にもかなり貴重な情報が得られますので、あなたの健康手帳として様々なことを書き加え活用されることをお勧めします。

2. ホルモン検査

内分泌(ホルモン)の乱れが不妊の原因になることがしばしばあります。ホルモン値は採血時期より変化しますので、月経開始後3~7日目までに行う必要があります。
当院では一般的なホルモン検査に加えAMH(抗ミュラー管ホルモン)を測定しています。

3. 子宮卵管造影(HSG)

子宮卵管造影は造影剤を注入し子宮内腔の形や卵管の疎通性(通っているかどうか)をみる検査です。
また、造影剤の拡散の状態から卵管周囲に癒着があるか否かなど、ある程度予測することができます。

4. 超音波検査

経腟的に超音波検査を行うことによって、子宮筋腫、子宮内膜症あるいは卵巣腫瘍など骨盤内の異常の有無を調べることができます。
また、卵胞発育の状態や子宮内膜の状態を知ることができ排卵日の予測や黄体機能不全の診断に有用です。排卵期には20mm程度の卵胞と10mm前後の木の葉状の子宮内膜が観察されます。

5. 精液検査

精液検査により精液量、精子濃度、運動率、精子奇形率、白血球数を調べます。男性側に原因のある不妊は全体の40%以上を占めるので、精液検査は基本検査としては欠くことのできないものです。
尚、射精後、精管に新しい精子や十分な量の精嚢や前立腺の分泌物で満たされるまで約4日ほど必要とするといわれており、精液検査の前には4~7日間の禁欲期間が必要となります。

6. 子宮鏡検査

子宮内に内視鏡を入れ子宮内腔の状態を確認する検査です。
子宮内膜ポリープなどの腔内病変は、受精卵の着床を障害し妊娠率を著しく下げます。子宮鏡でポリープなどが見つかった場合はポリープを切除した後に不妊治療を開始します。